Master of Public health (International): 大類 隼人さん

  • 外科医として勤務する傍ら、東日本震災や東トルコ地震での災害後の救命医療活動に参加。 国際医療支援NGO「Future Code」を設立。発展途上国での医療活動や災害後の復興医療支援、人材育成に取り組んできました。今回は大類さんが留学するに至った経緯や、リーズでの体験について聞かせていただきました。

留学にいたるまでの経緯

2006年兵庫医科大学卒業、医師免許取得。その後、呼吸器外科医、救命救急医として京都や神戸の病院で勤務。 (兵庫県立がんセンター、災害医療センター、京都市立病院)

2011年より兵庫医科大学呼吸器外科 救命救急科 兼任助教に就任。 その後、外科医として勤務する傍ら、東日本震災や東トルコ地震での災害後の救命医療活動に参加。

2011年より兵庫医科大学大学院 腫瘍制御学で博士課程に進学。2014年に卒業。

2011年5月 国際医療支援NGO「Future Code」を設立、Chief Director/CEOに就任。(当時任意団体、現在特定非営利活動法人)

>> 2012年7月に兵庫医科大学を退職し、Future Codeの活動として以後もハイチやバングラデシュ、ケニアで医療活動や災害後の復興医療支援、人材育成に取り組む。

留学をしようと思ったきっかけや、理由があれば教えてください。

目の前の医療だけじゃない、広い視点を学ぶ必要性を感じていました。

日本で公衆衛生学は医学部在籍中に学びましたが、途上国で医療活動する中、目の前の医療だけではなく、より途上国の活動に特化し、国家や国際機関の政策レベルの問題からの現場へのアプローチなど、国際的な視点、アカデミックな視点をより深く学ぶ必要性を感じ、一旦現場を離れ、より効果的なプロジェクトを展開するために留学を決めました。

留学先を決めるにあたって、どのようにして情報を集めましたか?

英国で留学経験のある外国人、日本人を問わず同僚や先輩から情報を集めました。日本で多くの情報があるコースではないので、日本人からは主には知り合いを通じて紹介してもらった経験者からできるだけ話を聞きました。

留学先の絞り込みのポイントは何でしたか?なぜイギリスを選んだのかも教えてください

合理主義だけでなく、しっかりと学べる環境が英国にはある。

米国、英国の両方の留学経験のある先輩から強く英国での公衆衛生学の履修を勧められました。米国での留学も合理的で実践的ではあるとのことですが、英国では学問を学問として合理主義だけでなくしっかりと勉強できる環境がある、ということでした。多分これはどちらが彼らから見て優れているということではなく、おそらく私の性格を彼らが考慮したのだと思いますが。

最終的に留学を決めた学校を選んだ理由は何でしたか?

このコースは途上国での公衆衛生学の実践に特化したプログラムであり、自分の今の仕事にも、将来にももっとも必要なプログラムであると思い、このコースを選びました。

留学をするにあたっての一番乗り越えなくてはならない壁は何でしたか?

現場を一度離れる上でのリスクや、理解の獲得が一番の壁でした。

途上国での自分たちが運営する医療現場を一度離れなければならず、私が現場にいない間のプロジェクトのマネージメントや、団体の運営にもリスクが大きいうえに、この留学に対する理解を得ることが必要でした。また、費用の確保のため奨学金をいただくことなども仕事をする傍ら同時に準備する必要がありました。

留学先の学校のおすすめしたいところを下記の点から教えてください

クラスメイト

各国の医療従事者の経験を共有できる環境。

多くはアフリカからの学生でありますが、アジア、ヨーロッパからも数人はこのコースに参加しています。英語自体もこちらはヨークシャーアクセントであり、その他英国の英語だけでなく、様々な発音の英語に慣れる機会でもあります。またそれぞれの国での仕事の経験も皆、豊富であり、授業中のディスカッションも楽しめます。

教授陣

国際機関での実践経験の豊富な教授が多く、今でも現役で途上国で業務にあたっておられる先生もおられますので、経験談を聞く機会があれば興味深いものです。個性も豊かであり、出身国も英国だけでなく様々な国から来ておられます。

授業内容

座学だけは終わらない。実践的なカリキュラムでした。

ただの座学として授業が終わることは少なく、テーマが出され、そのディスカッションやプレゼンテーションまでを授業時間内にこなすというものが多く、また課題も実際の途上国の現場を想定してプロジェクトを立案、企画していくものが多く、データなども実際のデータを使用し、かなり実践的で、それゆえになかなかの難易度があります。

大学施設(アコモデーション、相談室、図書館、スポーツ施設など)

図書館は現在3か所あり、2015年春にさらに1つが完成する予定で、各分野で充実しています。またコンピュータークラスタールームも多く、24時間利用可能です。

街の様子

それなりに大きな街なので、ほとんどのものは手に入りますし、生活には困りません。街の中心部に行けば、週末など特にかなり賑やかではありますが、中心街を離れれば落ち着いています。観光地ではありませんが、賑やかすぎる大都市の雑踏が苦手な私には丁度いい場所です。この街はロンドンとエディンバラの中間に位置し、英国をいろいろ見て回るにはスコットランドにも近く行きやすい場所です。またリーズの駅には一日に多くの列車が運行していますし、近くに空港もありますので、交通の便はいい方だと思います。

その他

他の修士課程のコースとも異なり、専門性は高いコースで、授業もほぼ最初の学期では連日朝から夕方まで、講義と課題もクリスマスの直前まであり、年始も早々に記述試験から開始されます。課題も大きなモジュールのテーマの中で、自分で取り組むメインの課題やそれを実践する国を決め、プロポーザルを作成していくようなものがほとんどであり、途上国での開発業務等の経験などがあれば、それをより生かして深めるような課題の進め方が可能です。

留学生活を通して得たスキルや体験などで、日本で学んでいては手に入らないと思えるものは何ですか?

実践的な授業で、実力と自信を得ることができます。

これだけ実践的な授業と課題をこなしていくので、日々得るものは大きいです。課題もひとつひとつの難易度も高く、同時に複数の課題をこなさなければならないことも多く、時には息を抜く暇もなく集中して取り組み続けなければなりませんが、ちゃんとこなしていけば多くを学ぶことができ、実践的な実力とある程度の自信はしっかりと得られると思います。また、実際ジュネーブに行き、WHOや他の国際機関を見学できるようなプログラムもありますので、今学んでいることをどうやって仕事にしていくのかがよくわかります。

留学先での目標、今後の目標について教えてください

じっくりと「学問」に集中できる時間ですので、残りの時間もしっかりと学び、実践に生きる経験としたいと思います。また個々の課題に対しても、ただ合格を取る、というだけでなく、自分の何が評価されて、何が問題とされるのかを考えていきたいと思います。

留学を終えた後の目標や、将来のビジョンがあれば是非お聞かせ下さい

政策と現場をつなぐ仕事をしていきたい。

途上国での医療現場に戻り、ここで得た知識を活用し、活動を続けていきたいと思います。また、国際機関で仕事を経験できる機会があれば、ぜひ経験し、政策と現場をつなぐ仕事をしてみたいと考えています。

留学したいとお考えの方や、留学を迷っている方へのメッセージをお願いします

学びたいという意欲があれば、それに応えてくれる講師、環境がここにはあります。

このコースで学ぶことには確かに簡単ではありませんので、それなりの覚悟がいるものですが、自分が勉強したいと思い行動するならば、先生方はじめ、プログラムも応えてくれますので、しっかりと自分の実力を鍛えることができます。もちろん経験や知識に自信がないとしても、まずは参加してみて少しづつでも知らないことを学ぶというところから始めたとしても、ここで学ぶことのできる知識は将来何かのきっかけになると思います。しかしながらもし可能なら、できるだけ明確な目標をもってこの留学に望まれるならば、より多くを学ぶことができるのではないでしょうか。


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